中国は前近代国家、日中関係を根本から見直せ

        (初出 平成17年5月24日)

 中国の呉儀副首相が、小泉首相との会談をドタキャンして帰国してしまった。理由がいろいろと憶測されているが、日本に対する外交戦略について、中国政府の方針がゆれていることを表しているのである。

 今までだと、「A級戦犯合祀の靖国神社参拝反対」と叫べば日本の世論が後押ししてくれた。しかし今はそういう情勢ではなくなっている。この問題については、我が国内でも大衆的なレベルで根本的な議論がなされるようになっている。問題点はこうである。

1 そもそもA級戦犯とは連合国が勝手に定義し断罪したものにすぎない、それをそのまま押し頂いて判断基準にしていいものかどうか

2 日本の政治権力はナチス政権と根本的に異なり、一人や数人の手に独占的に握られていたわけではない、したがって「A級戦犯」とされた人たちだけを問題にするのはおかしくはないか

3 大東亜戦争がアジアの人々を苦しめたということばかりが言われているが、アジアの国々を西洋の植民地支配から解放したという側面もある

4 戦争責任があるとしても、責任者とされた人々はすでに処刑され、罪を償っている。罪を償った死者に対して鞭打つという文化は日本にはない

5 首相は「参拝は過去の戦争を反省し、平和を誓い、戦死者の遺霊を追悼するためだ」と公言している。それを「戦争につながる」などと批判するのは「いいがかり」にすぎない。他国を侵略する戦力を持つ中国が他国を攻撃する能力を持たない日本を批判する資格があるのか

6 死者の慰霊の仕方について、文化も政治体制も異なる外国が干渉してよいことか

7 首相の靖国参拝が「アジアの民衆の感情をきずつける」と言われているが、その感情は歪んだ反日教育によって育成されたものにすぎないのではないか

 こうした問題点について、国民が自覚しはじめ、広範に議論が起きている。反日教育の「成果」を利用して中国政府がデモを組織してゆさぶりをかけたつもりが裏目に出て、日本国民の90%が疑問を感ずるという結果となり、中国側はあわてたのだろう。今までの戦略ではかえって逆効果だということが分かった。ではどうしたらいいのか。無能な中国指導部は困っているのだろう。

 副首相を急遽帰国させたのは、対日戦略が定まっていないからだではないか。その重要なときに、お飾りにすぎない無能な女性副首相(しかも経済・観光担当)では、荷が重すぎると判断したのかもしれない。それに、小泉首相の靖国参拝が不動ならば、かえって日本の世論を結集させる結果になりかねない。ここは戦略を根本から練り直さなければならないと判断したのだろう。

 次に中国がどう出るか、余談を許さないが、次のことだけは肝に銘じて、こちらの戦略を決めなければならない。

 

歴史的には絶対王制の段階

 現在の(革命以後の)中国政権は、歴史的に見ると絶対王制の段階だということを、すなわち大きく見れば封建社会の範囲内にあることを、確認しなければならない。つまり近代化以前の独裁政権だということである。公正なルールによって政治が運営されていない、したがって外交も同様に国際ルールを守るつもりのない国である。

 政治の世界で、国民が自分の力で情報を集め、自主的に判断して政治参加をするという精神もなければ、そうしたことが保証されてもいない。

 

情報鎖国

 つまり中国は情報鎖国の状態にある。かつてソ連は「鉄のカーテン」と言われた情報遮断の国であった。中の事実を外に知らせない。外の事実を国民に知らせない。中国も北朝鮮もまったくそれと異ならない情報遮断を国民に強制している。新聞テレビはもちろん、インターネットも政府によってコントロールされている。政府を批判するサイトは禁止されるし、外国にアクセスすることもできなくされている。

 政府寄りの意見を発表する隠密の「発言者」を養成し、インターネットの「掲示板」での議論に、普通の市民を装って発言させるという小手先細工もしているそうである。

 

迷惑大国

 経済発展の見せ掛けを作らなければならないので、公害は垂れ流し、ダムを造るために自然を破壊する。NASAの分析によると、「すす」の濃度は中国が最大で、その影響で西日本がそれにつぐ高濃度地帯になっている。「すす」のため地球の温度が上昇し、北極の氷が減少する危険がある。早急に対策を講じないと地球全体の気候に悪影響を及ぼす恐れがある。(『読売新聞』平成17年5月14日)

 新潟県の森林が枯れたのが、中国発の酸性雨のせいだと以前から言われている。最近は日本に飛来する黄砂も増えている。

 中国はまったくと言っていいほど公害対策をしないで経済成長を急いでいるので、今後ますます迷惑大国になっていくだろう。犯罪者の輸出国でもあるし、反日意識の強い国民を常に再生産しているし、通貨もなかなか切り上げないで自国の利益だけを追求している。要するに共存共栄を考えるのではなく、利己主義に徹しているのである。とうてい隣人として仲良くしていかれる相手ではない。このことを我々は肝に銘じて認識した上で、付き合い方を考えていかなければならない。

 

日中関係の構造そのものを変えよ

 小泉首相は、相手に謝罪を要求すべきときに、わざわざ謝罪した。こちらが誠意を見せれば向こうも軟化するだろうという態度である。遺骨返還だの、化学兵器処理だのと、一生懸命「誠意」を示しているつもりのようだ。相手の認識を間違えているとしか言い様がない。

 中国共産党政権は「誠実」が通用する相手ではない。謝罪すれば「それを行動で示せ」と、さらに押してくる。靖国に参拝すれば、また「謝罪は本心ではなかった、行動は反省していないことを示している」と文句をつけられ、ひと騒動起きるだろう。

 小泉首相が謝罪を繰り返したのは、経済界の圧力とともに、中国側から「謝罪してくれればデモを押さえこむことができるから」と言われたからではないのか。そのとき、「自分で仕掛けたことは、自分で責任を取れ」と言うべきであった。そこを譲ったのでは、今後も同じ手を使われる可能性を残したことになる。

 目の前のデモさえ封じればよいという戦略は大きな間違いである。「戦争被害」「戦争責任」を持ち出せば日本が譲歩するという構造そのものをなくすことを、日本は戦略目標にすべきなのだ。その意味では、今回首相が謝罪したのは、今までの構造を変える千歳一隅の機会を逸したと言うべきである。

 中国副首相の非礼なドタキャンは、中国内部で意見調整を必要としていることを示しているのだろう。しかし中国は共産党政権がつづくかぎりは、対日外交を根本的に変えるとは思えない。

 むしろ変えるべきは、日本の対中国外交姿勢である。日本の世論は、そのための追い風になっている。及び腰なのは小泉首相以下の政府である。

 目先の利益しか考えない経済界の圧力を断固はねかえして、今こそ中国に対して原則的な態度を取らなければならない。

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