対中国戦略の要点

      (初出 平成17年4月13日)

 日本政府は対中国戦略を明確に持っているのかどうか、はなはだ疑わしい。中国からいろいろと仕掛けられては、右往左往するばかりのように見える。

 今回の反日暴力デモにしても、中国共産党の思惑は、日本の常任理事国入りに反対を唱えて、取り引きし、日本から対価をせしめよう(譲歩を引き出そう)という姑息な作戦なのであろう。ところが、思惑をはずれて日本国内の世論が中国に対して厳しくなり、困っているのだろう。

 日本政府は、暴力・破壊に対してだけ抗議をするという態度である。現れてきた現象に対応しているだけでは、狡猾で無慈悲な中国共産党に対抗することはできない。中国共産党の本質と現状を正確に掴んだ上で、長期的な戦略を持たなければならない。

 現在の中国共産党の権力を握っている者たちは、権力欲だけは強いが無能で無慈悲な人間たちである。天安門事件に象徴される武力によるクーデターで民主派を弾圧し権力を握った者たちである。巨大な中国をまとめていく力量も政策も持っていない。

 力量も権力の正当性もないので、二つの欺瞞を使って権力と正当性を確保しようとしてきた。一つは反日教育・宣伝によって、「悪者」日本と戦ってきた正義の味方中国共産党というイメージを作り出す。いま一つは驚異的な経済発展を指導する中国共産党という幻想を作り出す。

 「奇跡的な」経済発展を演出するために、中国共産党は無理で性急な資本主義化を進めてきた。農民の収奪と労働者化。労働者化した「民工」に対する無慈悲な搾取。一部の特権階級への優遇による貧富の拡大と汚職の横行。エネルギー確保のための巨大ダムの建設や、森林の伐採による砂漠化と洪水の頻発。公害対策の無視による国民の健康の侵害。これらを怒った民衆の暴動の頻発。こうしたすべての矛盾は、ただただ経済発展という虚構の見せかけを作り出すために取られている、愚かな政策である。国民の幸せなど、これっぽっちも考えられてはいない。ただただ共産党独裁を維持することしか考えていないのである。

 このような無理で無慈悲な資本主義化は、破綻の直前にある。いや、すでに破綻している。矛盾はすでに露呈しており、爆発寸前である。これにどう日本は対処するかを、考えなければならない。

 日本のなすべきことは、中国国民に、中国共産党の間違った愚かな政策を知らせることである。現在の中国共産党がやっていることは、マルクスが明らかにした「本源的蓄積」に当たる収奪であり、一部の特権階級だけを富ませ国民の大部分を不幸にする政策だということを知らせることである。

 もう一つ大切なことも知らせなければならない。日本はすでに歴史について何度も謝罪済みであること、多額の経済援助をしてきたこと。現在の日本は平和愛好の国になっており、中国のように核兵器も他国を攻撃する兵器も持っていないこと。このことを民衆に、そしてとりわけ中国の未来を担う大学生たちに、知らせなければならない。

 そしてあらゆる手段を通じて、中国の民主化を呼びかけ、働きかけることである。中国人に真実を知らせ、民主化させること、この一点に対中国戦略を絞ることである。

 つまり対中国戦略として最も大切なことは、情報宣伝戦である。中国国民に真実を知らせれば、いかに中国共産党がウソを言ってきたか明らかになる。そうすれば不満と批判は一挙に中国共産党に向く。それを恐れて中国共産党は必死に反日宣伝をして、不満のエネルギーを反日にそらそうとしているのである。

 中国共産党が一方的に情報を隠蔽操作しているのを、どうやって打ち破るか、中国国民にどうやって真実を知らせるか、そのためにインターネットも地下放送も、地下印刷物も、何でも使うべきである。

 東欧共産主義諸国が崩壊したのは、西洋の自由で豊かな現状が知られたためである。資本主義の真の姿を知らしめ、中国の資本主義化がいかに歪んだものかを知らせなければならない。

 対中国戦略は民衆に真実を知らせ民主化を促す戦略でなければならないのである。

 朝日は本日の社説で中国のメディアに対して「真実を伝えてほしい」と書いている。どこまでノーテンキなのだろうか。中国の官権と官報が真実を伝えるはずがないではないか。真実を伝えないのが中国共産党の独裁を維持するために絶対に必要なのだということを、知らないはずがないのに、こうした幻想を振りまくのは、犯罪的である。中国メディア(中国共産党の機関紙、御用メディア)にお願いするというバカバカしさ。よくもこういう欺瞞を振りまけるものである。中国メディアの妨害にもかかわらず、中国国民にどうやったら真実を知らせることができるかについて、考え議論すべきであろう。

 なお、安保理常任理事国入りなど、急ぐことはない。間違っても、あせって中国と取り引きなどしないことである。それより、国連分担金の不公平を批判し、中国に対して、常任理事国にふさわしい分担金を出すように要求すべきである。

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