教育

13 男の子を育てる九つのポイント

 「男の子はむずかしい」とは、男の子を育てている、または育てた母親が異口同音に言う言葉である。女の子に比べて男の子は神経質だし、病気に弱いし、衝動や情緒が激しいし、表現が下手なので何を考えているのか、何を欲しているのかも分からない。

 だから「一姫二太郎」と言うように、最初の子は女の子である方が育てやすいと言われる。男の子は、とくに母親にとっては、育てにくい。

 そのことをきちんと正面から見据えて、男の子は女の子と、どこがどう違うのか、どういう点に気を付けて育てたらいいのかを、研究すべきである。しかしこのごろの風潮は、ジェンダーフリーとか言って、子育てにおいて男女の区別をしてはいけないという主張がどんどん浸透している。ほんとうは男の子と女の子の違いに即して、育てるときの注意点も異なるはずなのに。

 男の子の育て方について困っている親、悩んでいる親に、ちょうどよい本が出た。スティーブ・ビダルフ『男の子って、どうしてこうなの?』(草思社、1400円+税)である。はじめから男の子の脳と女の子の脳は違っている、ホルモンの出方も違っているという事実を認めた上で、それぞれの特徴にどう対処したらいいかを考えるという態度をとっている。

 男の子の最大の特徴は男性ホルモン・テストステロンが多いこと。それもいつも同じように多いわけではなく、時期によって多い少ないがある。その多寡に応じて、扱いや育て方を変えなければならない。

 男の子の発達を三期に分けて、それぞれの時期の注意点を細かく説明している。痒いところに手がとどくような説明である。すなわち最初の「誕生から六歳まで」は「深い愛情と安心感を与える時期」(だからこの時期に保育所に預けるのはよくない」)、「六歳から一四歳まで」は父親の役割が重要になる時期、「一四歳から二十歳まで」は両親以外の大人やコミュニティの助けが必要になる時期。

 たとえば、「急成長の時期に、いっとき耳が聞こえなくなるときがあるために、言われたことを理解していない場合がある」とか、「十代前半に男性ホルモンの影響で頭がぼーっとすることがある」とか「注意欠陥障害は父親欠乏症の可能性がある」とか、有益な注意がたくさん書かれている。

 なによりも男の子を持っている母親にとって、また父親にとっても大きな助けになるし、また男性にとっては自分がいかに理解されていなかったか、間違った扱いを受けてきたかが分かり、自分を整理するのに役立つだろう。

 また学校の先生や、周囲の大人が、どういうことに気を付けなければならないかについても、具体的にいろいろとアドバイスが書かれている。

 とにかくいい本である。男の子を持っている親に、そして先生たちに、この夏休みに、是非一読をお勧めしたい。