強制連行は事実か

 

 日韓併合中に日本が悪いことをした例として出される「強制連行」は事実なのかどうか。この疑問に見事に答えてくれるのが、最近出版された鄭大均氏の『在日・強制連行の神話』(文春新書、平成16年6月)である。以前に同氏の『韓国のイメージ』『日本(イルボン)のイメージ』(中公新書)を読んだことがあり、この人はものごとをできるだけ客観的に見ようとしているなと感じていた。

 同氏は以前に『在日韓国人の終焉』(文春新書)という本も出している。「在日とは何か」という問題意識をもった私にはぴったりの題名・テーマである。さっそく読んでみることにした。

 読んでみて、びっくりしたことに、私の疑問に対するぴったりの答えが書かれていたのである。まずその内容を紹介しよう。(もちろん網羅的な紹介ではない。私の問題意識から見て必要な内容だけを紹介する。またその理解の仕方は私によるものであり、責任は私にある。全部の内容を知りたい人は同書を読んでほしい。とくに日韓・日朝の問題に関心のある人には必読の書だと思う。日中の問題にも当てはまる。 )

 

 鄭大均氏が明らかにしていることは、「在日とは強制連行によって日本に連れてこられた人々とその子孫だ」ということは事実ではない、ウソだということである。氏はまず、現在の在日とその子孫のほとんどは自由意志で日本にやってきて、そのまま在住しているという事実を明らかにする。この事実を氏は「強制連行」という言葉の定義の問題から始まって、在日の人々の証言などの資料に即して証明している。

 要するに「強制連行」説は「作られた」ウソ、「神話」なのである。このウソは、「日本は朝鮮を植民地支配し、苛酷な収奪と苦しみを与えた」というウソと同根・同種のウソなのである。(この事実に関して疑問のある人は、同書を直接読んで検討してほしい。私は鄭氏の論証は十分に検証に耐えうるしっかりしたものだと判断している。)

 「強制連行」説や「植民地苛酷支配」説がウソだとすると、そのようなウソを言い出したのは誰か(いかなる勢力か)が問題となる。またそのウソを信じた人々とはいかなる人々なのか。この疑問にも、鄭氏は明解な答えを出している。

 「強制連行」説は金日成とその息がかかった者たちによって主張されてきたのである。そのバイブル的な書が、朴慶植『朝鮮人強制連行の歴史』(未来社、1965)である。そこにはたとえば、「日本帝国主義は」「夜中に農家を襲撃し、白昼にトラックを横付けして畑で働いている朝鮮の青壮年を手当たりしだいに拉致していくなど」の、「朝鮮人狩り」をおこなった、その数「約五百万にのぼる」「一九三九年から一九四五年までの期間だけでも百十五万余名の朝鮮の青壮年を徴兵、徴用などで強制的にひきたてていった」と書かれている。

 これが事実でなく、単なる政治的プロパガンダにすぎなかったことは、今日では十二分に実証的に明らかにされている。それを証明することがここでの目的ではないので、鄭氏の本や、その他の類書にゆずるが、要するに朝鮮併合から戦時中に至るまで、朝鮮半島から日本にやってきた朝鮮人のほとんどは貧しさから逃れるために、職を求めて海峡を渡ってきたのである。

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