家族 2 夫婦別姓  

 

 

(4) 朝日新聞は、別姓問題で

    いつまでウソを言い続けるのか

 

 『朝日新聞』は依然として大ウソを言い続けている。

 「夫婦別姓の賛成派が反対派を上回った」という、例のウソである。

 『朝日新聞』は機会あるごとに別姓問題を記事にしているが、そのたびに「賛成が反対を上回った」というフレーズを枕詞(まくらことば)のように使っている。

 たとえば、11月5日の記事では、「夫婦別姓論議5年ぶり再開」「消極姿勢の自民、変化」という見出しで、夫婦別姓への動きが活発化し、それに伴って反対派の動きも出ていることを報じている。

 その冒頭の書き出しはこうなっている。

 

 推進派を活気づかせたのは、内閣府が8月に公表した世論調査結果だ。「選択的夫婦別姓」に賛成する人が、反対派を初めて上回った。

 

 11月22日の社説「夫婦別姓 早く法案の提出を」では、次のように書かれている。

 

 ・・・「選択的夫婦別姓制度」の導入をめぐる動きが活発になっている。

 一貫して消極的な姿勢をとってきた自民党に、別姓制度導入のための民法改正を検討するプロジェクトチームができた。

 野党の参議院議員らも、議員立法をめざしてこのほど超党派で法案を提出した。

 内閣府が8月に発表した世論調査で、別姓導入に賛成する人たちが初めて反対派を上回ったことが背景にある。とくに若い世代では賛成派が多数を占めた。「夫婦は同じ姓を名乗るべきだ」と考えているのは20代、30代で2割に満たなかった。女性では1割前後にとどまっている。

 結婚や家族に対する考えが急速に変わってきているあかしであろう。

 

 さらに12月4日には、「夫婦別姓論議 越年へ」という記事が出され、そのリードの部分にはこう書かれている。

 

 世論調査で賛成が反対を上回り、政府や自民党の首脳が前向きな姿勢を繰り返し表明する──。この秋以降、にわかに導入論議が高まった選択的夫婦別姓制度だが、結論は来年の通常国会に持ち越されることになった。

 

 『朝日新聞』はことあるごとに「賛成が反対を上回った」とふれまわっている。これはもう「国民を欺くウソのキャンペーンを張っている」と言うべきだ。

 『朝日新聞』の読者は『朝日』を信用しているので、これが大ウソだとは思いもよらないであろう。「そうか、人々の考えも変わってきたのか」「とうとう賛成が反対を上回ったのか」と思うであろう。

 11月22日の社説には、もっと細かいウソの数字が並んでいる。

 いわく

 

「夫婦は同じ姓を名乗るべきだ」と考えているのは20代、30代で2割に満たなかった。女性では1割前後にとどまっている。

 

 読んだ人は、「へえー、同姓派は20代、30代では1割とか2割しかいないのか」と思うであろう。もし私が「本当は44パーセントもいるんですよ」「それに対して賛成派はせいぜい25パーセントか30パーセントくらいですよ」と言っても、信用してくれる人はどのくらいいるだろうか。

 普通の国民は内閣府の世論調査を直接に読める人は少ない。インターネットでは公表されているので、パソコンのできる人は確認することは可能だが、『朝日新聞』の読者は当然『朝日』を信用しているので、わざわざ確かめる人はごく少数であろう。

 かくして「ウソも何度も言っているうちに本当になる」の言葉どおり、「では私も賛成派になろうか」と言って賛成に回る人も増えかねない。その結果、何年かして世論調査をしてみたら、本当に賛成派が反対派を上回ることにもなりかねないのだ。

 

 まず結論を言おう。この欺瞞的な世論調査によってさえ、 

 「夫婦は同じ姓を名乗るべきだ」と考えているのは20代、30代で男女ともに44パーセントもいるという結果が出ているのである。

 『朝日新聞』の社説で「1割とか2割しかいない」と言われた人々は「夫婦は同じ姓を名乗るべきだから通称も認めない」という、頑固派(私の命名です。言葉は悪いが頑固派の皆さんご容赦を)のパーセントである。その他に「夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきだが、婚姻前の姓を通称としてどこでも名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」という項目がある。ここに丸を書いた人たちも、「夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきだ」と考えているのだから、『朝日新聞』の社説でも、「夫婦は同じ姓を名乗るべきだ」のパーセントにはこの数字も加えるべきである。それを加算すると、20代、30代でも男女ともにほぼ44パーセントになるのである。1割か2割などという数字がいかにウソの数字か明かであろう。

 それに対して「別姓にしたい人には許してあげてもかまわない」という人は、20代、30代だと平均より10パーセントほど高くなって52パーセント前後だが、後述する理由から、その中の半分くらいが別姓制度賛成派と推定できるので、賛成派は25パーセントくらいなのである。

まあ多く見積もっても30パーセント程度であろう。

 この私の推定が正しいとすると、20代、30代でも別姓反対派が賛成派を上回っている可能性が大きいのである。

 

 今回の世論調査の結果を正確に表現するならば、「通称も認めない」という「頑固派」29.9パーセントを、「構わない」派42.1パーセントが上回った」というだけのことである。もちろん「かまわない」派は「賛成」派ではない。それは単に「他人が別姓にしたいならかまわないよ」という人たちであり、この中には当然別姓に賛成の人も反対の人も含まれている。これを「賛成」派と表現するのは、国民を愚弄する欺瞞である。

 この中のどれくらいの人たちが積極的な賛成派かというと、それを推論する一つの資料がある。それは過去二回にわたって、単純に賛成か反対かを問うた世論調査を見ると、見当がつくのである。

 1990年と1994年に行われた総理府(今の内閣府にあたる)の世論調査では、どちらも別姓に賛成が30パーセント近く、反対が52パーセントくらいである。(くわしくは「時事評論」16参照)

 今回の調査でも反対(夫婦は同姓を名乗るべき)が53パーセントなのである。とすると、賛成もおそらく変わらずに30パーセント程度であることが推定できるのである。

 つまり国民の意識は、ここ10年でまったく変わっていないと言うことができる。変わったように見せかけているのは、欺瞞的な調査方法と、さらに欺瞞的な読みとり方法である。

 これはもう国民への詐欺罪と言うべき犯罪ではなかろうか。

 『朝日新聞』はいつまで国民を欺くキャンペーンを続けるつもりなのか。歴史に汚名を残すことになってもいいのであろうか。

 人のいい日本人は、自分は反対だが、そんなに多くの人たちが賛成ならば、仕方ないかと思うだろう。

 これはもう犯罪的な世論操作であり、国民をウソで洗脳しようとしていると言わざるをえない。

 こんな欺瞞に騙されて、家族制度と婚姻制度の原則的な大改革を簡単に認めてしまって、あとで「まずかった」では済まないのだ。何度でも言うが、別姓にしたスウェーデンでは、離婚が二組に一組、犯罪率は(先進国の中では)世界一になっている。

 別姓推進派の大きな推進理由は「賛成が反対を上回った」である。ということは、反対が賛成を上回っているなら、進めるべきでないということになる。彼ら自身の論理に従うなら、別姓は進めるべきでないという結論になるはずである。

 『朝日新聞』の社説はこう結論している。

 

 議論の場では若い人たちの考えを最大限に尊重したい。これから結婚し、家庭を築く当事者なのだから。

 

 この執筆者に、そして『朝日新聞』にお聞きしたい。もし若い人たちの中で、反対が賛成を上回ったなら、その意思を「最大限に尊重し」て「別姓」を引っ込めるのか。「やりたい人はやってもかまわない」という質問ではなく、単純に「夫婦は同姓であるべき否か」を問えば、若い人たちだって「同姓であるべき」の方が多いはずである。

 まずフェアで公正な世論調査をし直すことが先決ではないか。どこの新聞社でもいい、科学的で公正な世論調査をやってくれないだろうか。

 ただし『朝日新聞』がいまさら世論調査をしても絶対に公正な結果は出ないだろう。なぜならこれだけウソのキャンペーンをやって世論をミスリードしたあとでは、そのキャンペーンが世論を変えてしまう可能性だってあるのだから。『朝日』の「権威」で世論をミスリードする恐ろしさを感ずるのは私だけではないであろう。