反日デモ、日本的な解決を排す

      (初出 平成17年4月20日)

 今回の反日デモに関して、中国の言い分を日本が絶対に認めてはならないことがある。それは「これだけの大規模なデモが起きた原因を日本側は考えるべきだ」という見解である。それはつまり「日本の侵略に対する怒りの感情があるから、それを考慮すべきだ」「もともと悪いのは日本だ」という意味である。

 デモの背景に日本に対する悪感情があるというのは事実である。しかしその怒りの感情は、とくにここ10年の異常なまでの反日教育の偏りが原因である。

1 虐殺などの行為を極端に過大に描いて、わざわざ「記念館」と称して全国各地に展示場を作って国民に見せていること、

2 平和国家になっている戦後の日本をまったく伝えていないこと(中国のように他国を攻撃する兵器体系をまったく持っていない)、

3 中国への侵略の償いを(経済援助という形で)3兆円も供与してきたという事実、

4 日本はこれまでに謝罪を繰り返していること、

 これらの重大な事実を国民にまったく知らせないできた中国政府の卑怯な政策にこそ、今回の暴動の背景にある悪感情の最大の原因がある。

 それを、責任は日本にあるとばかりに、「先に謝るべきだ」という中国政府の言い方は、不公平・不誠実であり、あまりに礼儀を欠いている。これに怒りを覚えないのは、少なくとも疑問を感じないのは、どうかしている。

 怒りは、同じことを言っている『朝日新聞』や民主党の岡田代表にも感じる。また海外のメディアも同じことを言っているものが多い。完全に中国のウソの宣伝が功を奏しているのである。

 しかし日本側にも重大な原因がある。日本は上の四つの中国側の不誠実な事実隠しについて、これまで一片の抗議も主張も公式にはしてこなかった。それは「事を荒立てたくない」という、きわめて日本的な処世術のせいである。相手にとって都合の悪いことを持ち出すと良い関係が崩れるから、「そっとしておこう」という日本的な「配慮」からである。そのかわり、自分の悪い点については(悪くない捏造に対してまでも)馬鹿正直に認め謝罪してきた。

 こうしたお人好しの態度は、相手がこちらと同様にお人好しの場合にだけ通用する。お人好しの日本人同士の場合にはうまくいく。しかし、相手の弱みに付け込むような(それが国際的には常識)、かえって逆効果であり、大きな損失と不利な立場を招く。このギャップが、対中国外交を決定的に失敗させた真の原因である。

 これまでの失敗から引き出される教訓。

1 「先に謝るべきは日本の方だ」という中国の言い分を絶対に認めてはならない。中国が謝罪しなければ、話し合いはものわかれになったままでよい。大使館や領事館の破壊のあとは、そのままにしておけばよい。そうなれば中国の野蛮の証拠が世界の目にさらされ続けるのだから、結構なことである。

2 壊され汚された大使館・領事館の修理を上海市や大家がすることを申し出ているそうだが、中国政府の公式の謝罪の上での補償でないかぎり、絶対に拒否すること。

3 ウソに基づく反日「愛国」教育や宣伝の中止を要求し、3兆円にも及ぶ経済援助の事実と、戦後の平和国家への転換を正確に教えるように要求すること。

 この三つの原則は絶対に譲ってはならない。ここを譲れば、将来にわたって永遠に、日本がどんなに誠実に謝罪や補償をしても、日本が道徳的に悪者にされるという構図が出来上がる。今後は永遠に中国に頭を下げさせられるようになる。

 とくに「原因は日本にある」という言い分を認めたり、うやむやのまま解決を図るなら、今後たとえば首相が靖国参拝をするとか、たった一つの教科書候補に気に入らないことが書かれているというだけで、将来にわたって日本に対する悪感情が爆発しても、再び日本が悪いせいにされるだろう。

 日本政府には、中国に進出している経済界から、「ほどほどのところで妥協するように」との圧力が加わるだろう。しかし将来にわたって禍根を残すような「日本的な」妥協だけは、この事件を機に皆無にすべきである。

 話し合いとは、まず双方の主張をぶっつけ合い、その上でなされるものである。日本は一度も言いたいことを言ったことがない。つまり話し合いは一度もなされたことがないのだ。今こそ、こちらの言い分を正々堂々と展開すべきである。

 その意味で小泉首相の責任は大きい。ここで断固とした態度を貫けば、小泉首相は未来の歴史で、日本の名誉と真実を守りとおした偉大な宰相としての評価を得ることになろう。しかし下手な妥協をすれば、今までの売国的な凡庸な指導者と同じレベルにまで落ち込むだろう。今や日本にとっても首相にとっても、まさに正念場である。中国という国は、こちらが引き下がれば押してくる、甘い顔を見せればつけこんでくる国である。絶対に原則を譲るべきではない。

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