フェミニズム批判

 

22 「社会主義」中国で妻の6割以上が専業主婦を希望

    (平成15年1月18日初出)

 

 知人より、たいへん興味深い情報がもたらされた。

 中国の新聞『人民網日本語版』に「 妻の6割以上が専業主婦になりたい」というアンケート結果が掲載されたという。

 以下、その記事をそのまま引用する。

 

妻の6割以上が「専業主婦になりたい」

 北京市海淀区で2000組の夫婦を対象に行った調査によると、仕事を持つ妻の6割以上が専業主婦を望んでいることが分かった。

 調査は、海淀区婦人連合会が実施した。これによると、実際の専業主婦(一時帰休者、失業中を除く)は全体の4.5%(40歳以下では2.6%)。しかし、仕事を持つ妻のうち専業主婦を望む割合は高く、14.8%が「専業主婦になってもよい」、47.7%が「家庭の経済状況が許せば仕事を辞めても

よい」と回答。「定年まで仕事を続けたい」は37.5%にとどまった。

 経済水準や学歴が比較的高い同区で仕事をもつ妻の62.5%が仕事を辞めて家庭に戻りたいと考えているという意外な結果に、調査を行った同区婦人連合会には失望感が広がっている。「多くの女性が仕事に就く動機は、男女平等の労働の権利によって自己の人格改善、地位向上をはかることではなく、夫が家族を扶養するのを助けることだ」、「女性の責任と義務の放棄は、権利と尊厳の放棄だ。男女平等どころの話ではない」などの声が出ている。

 ただ、北京市婚姻家庭研究協会の何立嬰さんは異なった見方をする。「同協会の最新調査結果によると、収入レベルや学歴が低い女性ほど専業主婦になることで家庭内での自分の社会的地位が下がると心配しているが、反対に学歴や収入レベルが高い女性ほど家庭での地位に影響をしないと考えている」と解説。「後者の女性たちは家庭労働、『良妻賢母』の社会的価値を重視している」と指摘する。

 一方、労働問題研究者で、中国労働学会の楊宜勇副秘書長は、「家庭労働の価値を社会がしっかり認めれば、家庭主婦の社会的地位は本当に向上する。男女平等とは、男女が同じ仕事をするのではなく、それぞれの長所を生かすことだ」という。楊氏は「仕事をもつ妻の専業主婦志向は、家庭での労働や余暇の選択の幅が広がったことを意味する。社会が発展した現れであることは間違いない」と強調。「専業主婦志向は、家庭生活が安定し、結婚生活での『一時帰休』(離婚)になる心配がないことの現れだ」と話している。

(「人民網日本語版」2003年1月12日)

 

 じつに面白い記事ではないか。

 北京市海淀区婦人連合会の公式見解によれば、女性が働くのは「男女平等の労働の権利によって自己の人格改善、地位向上をはかる」ためであり、「女性の責任と義務」であり、「女性の権利と尊厳」を得るためだそうな。

 しかし中国での実状は、女性が働くことは女性が男性と同等に搾取されることを意味している。とくに市場が自由化された今日、農村から出てきた大量の労働者たちは、しばしば12時間という苛酷な労働に苦しみ(その条件でなければ仕事につけない)、賃金も最低(いや最低以下)におさえられている。

 そして社会主義国には搾取や労働問題はないと前提されているので、労働組合も存在しない。存在しても共産党の御用組合である。労働条件の改善には取り組まない。

 かくして、いくら働いても「女性の人格改善、地位向上」ははかられず、「女性の権利と尊厳」は得られない、となれば、その苛酷な労働の場から逃れたいと考える女性が増えるのは、理の当然ではなかろうか。

 もっとも、専業主婦志向は、必ずしも苛酷な労働から逃れるためではなさそうである。むしろ逆に裕福で知的な女性たちが専業主婦になることを望んでいるそうである。

 北京市婚姻家庭研究協会の何立嬰さんによれば、「学歴や収入レベルが高い女性ほど家庭での地位に(専業主婦になることが)影響をしないと考えている」「後者の女性たちは家庭労働、『良妻賢母』の社会的価値を重視している」そうだ。

 また中国労働学会の楊宜勇副秘書長は、「家庭労働の価値を社会がしっかり認めれば、家庭主婦の社会的地位は本当に向上する。男女平等とは、男女が同じ仕事をするのではなく、それぞれの長所を生かすことだ」という。楊氏は「仕事をもつ妻の専業主婦志向は、家庭での労働や余暇の選択の幅が広がったことを意味する。社会が発展した現れであることは間違いない」と述べているそうな。

 この意見は、これまで私が言ってきたことと完全に一致している。

 とくに「仕事をもつ妻の専業主婦志向は、家庭での労働や余暇の選択の幅が広がったことを意味する」という箇所に、「女性の選択肢が増える」ことを目指してきたフェミニストたちは賛成するのか、反対するのか、是非ご意見を聞かせていただきたいものだ。これは男女平等労働の先輩国・中国の専門家のご意見ですぞ。

 しかし日本では、この傾向とは逆に、専業主婦をいじめる政策が着々と進行している。専業主婦に与えられていた配偶者控除はなくされることが決まった。家庭での育児はますます困難になる。家庭育児を否定してしまったスウェーデンでは、子供の犯罪が急増し、今では大人の犯罪がアメリカの4倍、日本の20倍、強盗にいたっては日本の100倍という、驚くような荒廃した国になっているというのに。

 日本人はどこまで愚かになれば気がすむのか。