フェミニズム批判

 

18 画期的な宇部市男女共同参画条例

 

 山口県宇部市で画期的な男女共同参画条例が成立した。

 これまでの市町村の条例は、完全にフェミニストたちの主導権のもと、フェミニズムにそったきわめて偏った内容の条例ばかりが作られてきたが、それをはねかえし、「男らしさ」「女らしさ」「家庭」「専業主婦」「思想・良心の自由」を認めることを明記した条例が宇部市で制定された。

 このことの意義は巨大である。国と都道府県の男女共同参画条例がいかに偏っていても、市町村の条例がこのように良識的なものであれば、国と県の偏った条例を解毒することができる。ひいては国と県の間違った条例を改正する原動力にもなりうる。

 宇部市の良識的な条例を機に、全国で良識的な条例制定へと、動きが活発になることを期待したい。

 この条例の詳細が「日本時事評論」の平成14年7月5日号に掲載されているので、同社の了解を得て、ここに全文を引用させていただく。(なお同社は、山口市大字吉敷1112-1、Tel 083-928-0086、FAX 083-928-1113、編集部のTel 083-932-6665、FAX 083-922-3167)

 

男女共同参画“男らしさ・女らしさ” “主婦”を認めます

 

宇部市が良識的な条例を制定

 

ジェンダー・フリー(性差否定)の流れに一石

 

(リード文)

 「男らしさ・女らしさ、主婦を否定しない」「基本を家族に置く」「思想および良心の自由の尊重に配慮する」―こんな極めて常識的な内容を明文化した男女共同参画推進条例が、宇部市(山口県)の六月定例市議会で成立した。「男女共同参画」に関する条例は、現在三十五都道府県、五十七市区町村で制定されているが、その中身は「男らしさ・女らしさ」「家庭」「専業主婦」を否定し、行政が個人の思想・良心の自由をも侵害しかねない内容との懸念がでているだけに、宇部市の条例は極めて良識的かつ画期的なものである。政府・自治体主導の男女共同参画の流れに一石を投じるものとして注目される。(三面に宇部市条例の抜粋)

 

“共参”基本法の本質

 

 「男女共同参画」と聞けば、「男と女の特性を認め合いながら、よりよき社会作りのために協力、参画していくこと」と思いがちだが、それが「麗しき誤解」(八木秀次・高崎経済大助教授)であることが徐々に明らかになってきている。

 文科省が委嘱した子育て支援のパンフレットで、男らしさ・女らしさや、ひな祭り・鯉のぼりを否定するような内容が盛り込まれ、男女共同参画担当大臣の福田官房長官がその内容について「賛成しない」と発言したことは、象徴的な出来事である。つまり、男女共同参画基本法の精神を忠実に反映させた文科省委嘱パンフに対し、国の責任者が不快感を示すという笑止千万な事態が起こっている。

 男女共同参画の基本理念には、@男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと(第三条)、A社会制度・慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響を中立的なものにするよう配慮(第四条)、B家庭生活における活動と他の活動の両立(第六条)などが掲げてある。

 表面上は何の問題もないように思えるが、その意味するところは、尋常ではない。

 まず、男女の性別について、国民の多くは「男女の特性を認めて、不合理な男女格差は解消する」程度のことだと思っているが、基本法の真意は、「男らしさ・女らしさ」を否定するどころか、男と女の区別自体を否定する「ジェンダー・フリー」社会を目指すもので、“男女同質化法”が実態である。

 二つ目の社会制度・慣行についても、それらが「性別による偏り」を持つもので、

「女性と男性の固定的な役割分担」を前提にしていると決めつけ、あらゆる制度・慣行は見直しをすべきという。これは、伝統・文化の否定である。同時にさまざまな制度や慣行の中にある「世帯単位」の考え方を「個人単位」に改めるということは、家族の絆を断ち切り、個々人を孤立化させる“家族解体促進法”と言わざるを得ない。

 家庭生活と他の活動の両立についても、出産・育児期の女性を仕事に駆り出すことを意図しており、「育児の外注化」が進み、〃親の子育て放棄奨励法〃となることは間違いない。

 

多くの疑問を払拭

 

 宇部市条例の賛成討論に立った保守系の広重市郎議員は、現在進められている男女共同参画に対して次のような疑問を呈した。

 ▼国、県、市という公共機関が家庭、個人の思想、良心に入り込んでいるのではないか▼「メディア・リテラシー」として、メディアで使われている言葉、コマーシャルまでチェックしようとしているのではないか▼雌雄同体の「カタツムリ」を理想化し、男女の性差を否定し、同質化しようとしているのではないか▼社会の基盤である「家庭」「家族」を解体しようとしているのではないか▼人生の大事業である「結婚」を軽く考え、フリー・セックスに拍車をかけ、性道徳を破壊しているのではないか▼「機会の均等」と「利益享受の均等」を混同して、結果平等主義という「悪平等主義」を唱えているのではないか、と。

 これに対し、宇部市が提案した条例は、「良識的な市民が、何の不安もなく、自主的に参画できるよう立案されたものだ」と広重議員は主張した。

 

審議会答申に流されず

 

 宇部市も他の自治体の例に漏れず、条例制定には事前に審議会の答申を受けてい

る。だが、その答申案を尊重しながらも、執行部としての独自の案を上程したこと

は、市および議会の見識を示したものだ。

 条例案が答申案を大きく変更していることについて議会で質問された縄田助役は、

「答申を尊重し、より広く意見を聞くため、市民の代表である市議会などの意見も十分聞いた……宇部市の姿勢をより明確にした条例案にするため、一部を変更、加えた」と答えた。また、答申にはなかった「男らしさ・女らしさ」を加えたことについても、「男女共同参画をらしさ否定と受け取る向きもあるが、一般的に言う男らしさ・女らしさを否定するものではないことを明記。個人として尊厳が重んじられることが重要であるという考えに基づいた」と答弁した。極めて常識的なことではあるが、あえて男らしさ・女らしさや家庭の重要性を明文化し、基本法の誤りを訂正した意義は大きく、宇部市の〃良識〃に拍手を送りたい。

 男女共同参画基本法は、十分な内容の検討がないまま全会一致で国会を通過して、

これに、いわゆる上積み・横出しする形で各地方自治体の条例が制定されている。今回の宇部市の条例制定を機に、この際、国や全国の地方自治体で、男女共同参画の中身を良識的視点で見直す必要がある。

 

 

宇部市男女共同参画推進条例の主なポイント

 

1 男女を対立関係ではなく、相互協力関係とし、人格的平等に基礎を置いた。

2 思想及び良心の自由に対する配慮を明記した。

3 市民、事業者及び市の協働における役割分担と「市民主役」の立場を明記した。

4 「男らしさ・女らしさ」「専業主婦」「家族の役割」など、日本の伝統と文化及び地域的特性を背景とした基本理念を定めた。

5 積極的改善措置を削除した。

6 リプロダクト・ヘルツ/ライトに関する答申案を削除した。

 

 

きわめて良識的な宇部市の男女共同参画推進条例

  (答申案との対照および解説)

 

審議会 答申案

 

第一章 総則

 

(目的)

第一条 この条例は、男女共同参画の推進に係る基本理念並びに市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、男女共同参画に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の形成を図ることを目的とする。

 

(定義)

第二条 この条例において「男女共同参画」とは、男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、かつ、共に責任を担うことをいう。

 

(基本理念)

第三条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念とする。

 

一 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接又は間接に性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。

 

四 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び就業その他の社会生活における活動に対等に参画できるようにするとともに、責任を分かち合うこと。

 

五 生涯にわたる妊娠、出産その他の生殖に関する事項に関し、自らの決定が尊重されること及び健康な生活を営むことについて配慮されること。

 

 

(市民の責務)

第四条 ―略―

 

(事業者の責務)

第五条  ―略―

 

(市の責務)

第六条 ―略―

 

 

宇部市男女共同参画 条例

 

 

第一章 総則

 

(目的)

第一条 この条例は、男女共同参画の推進に係る基本理念並びに市民、事業者及び市の役割を明らかにするとともに、行政が家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重に配慮しながら、男女共同参画に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の形成を図ることを目的とする。

 

(定義)

第二条 この条例において「男女共同参画」とは、男女が、社会の対等な構成員として、社会の様々な分野における活動に自らの意思によって参画し、共に責任を担うことをいう。

 

(基本理念)

第三条 本市における男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念とする。

 

一 男女が、男らしさ女らしさを一方的に否定することなく男女の特性を認め合い、

互いにその人格と役割を認めるとともに、尊厳を重んじ合うこと、男女が性別によって法の下の平等の原則に反する取扱いを受けないこと、男女がその特性と能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人格的平等が尊重されるよう努めること。

 

四 家族を構成する男女が、家庭尊重の精神に基づいた相互の努力と協力の下に、愛情豊かな子育て、家族の介護その他の様々な家庭生活の営みにおいて、すべからく家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ、就業その他の社会生活における活動を行うことができるよう配慮に努めること。ただし、それぞれの家庭における役割の重要性や子どもへの配慮を軽視することのないよう十分に留意すること。

 

五 専業主婦を否定することなく、現実に家庭を支えている主婦を男女が互いに協力し、支援するよう配慮に努めること。

 

 

(市民の役割)

第四条 ―略―

 

(事業者の役割)

第五条 ―略―

 

(市の役割)

第六条 ―略―

 

 

 

 

解 説

 

◎ 答申案と条例の内容

・縄田欽一助役「答申を尊重し、より広く意見を聞くため、市民の代表である市議会などの意見も十分聞き、宇部市の姿勢をより明確にするため、一部を変更、加えた」

 

<第一条>

◎責務と役割

 基本法では、国、地方公共団体及び国民の責務を定めているが、内容的には、果たすべき役割について宣言的に規定したもの。宇部市では、市民が主役となって果たすことを強調し、役割分担を明らかにする意味から「役割」としている。

 男女共同参画を推進するにあたって、家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重を再確認し、ジェンダーチェックなど、行政の行き過ぎが起きないよう配慮している。

・縄田助役「行政が家庭や個人の思想および良心の自由についてまで踏み込むものではないとの立場から配慮した」

・福山清二・市民生活部長「男女の人権を尊重し、思想チェックにならないよう気を付けたい」

【参考】憲法 第一九条[思想及び良心の自由] 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 

<第二条>

「男女の自らの意思によって社会参画する」という主体性を強調している。

 

<第三条>

 「男女が性別によって法の下の平等の原則に反する取扱いを受けないこと」とは、

憲法第一四条第一項後段列挙事由である「性別により差別されない」ことを確認的に規定している。

・縄田助役「男女共同参画をらしさ否定と受け取る向きもあるが、一般的に言う男らしさ・女らしさを否定するものではないことを明記した。個人のとしての尊厳が重んじられることが重要との考えに基づき、基本理念を定めた」

 

第四号は、家庭生活における活動も社会活動の一つと位置づけ、男女が、家庭尊重の精神に基づいた相互の努力と協力を行うよう配慮することを定めている。家庭・家族解体を意図する一部の主張に同調しないよう、家庭の重要性を打ち出した点で画期的。

 

第五号は、家庭生活の活動において重要な役割を果たしている専業主婦の役割を軽視することなく、むしろ支援・配慮を求めている。「専業主婦」と言う言葉が条例になじまないとの論議もあったが、専業主婦否定の風潮と一線を隠す意味で、あえて条文に入れている。

 

◎市民、事業者、市の役割

・縄田助役「市民、事業者、市が自ら主体的に取り組み、三者が連携して、それぞれの役割を果たしていくことが必要とされるため、責務規定ではなく、役割とした」

 

【宇部市と男女共同参画】

 宇部市は、平成10年6月に、中国地方で初めて男女共同参画宣言都市となり、県内でもいち早く「女性問題対策審議会」を立ち上げるなど、先進的な活動をしてきた。

平成11年6月に国の「男女共同参画社会基本法」が制定され、山口県も翌年10月に都道府県として全国3番目の条例を施行。宇部市も県下2番目の市条例の制定を目指していた。

 しかし、宇部市から発行された男女共同参画の小冊子に結婚制度を否定するような内容が掲載されたり、文科省委嘱の子育て支援パンフレットなどで、男女共同参画の問題点が明らかになるにつれ、市民、議員から市条例制定や審議会答申案の中身に疑問を持つ声が上がり、それらを反映した極めて良識的な条例となった。