フェミニズム批判

 

17 日本人は健全だ !

 

 私はこれまで「母性が崩壊している」とか「家族が壊れそうだ」と警告してきた。もちろんその徴候や危険はあるし、警告してきたことは正しかったと思う。しかし日本人の家族や母性をめぐる感覚はまだまだ正常で健全だと感ずる経験を、最近立て続けに持つことができて、私はちょっぴり幸せを感じている。

 まず性別役割分業をめぐる「逆転現象」が起きているという『朝日新聞』平成14年1月12日付の記事。すなわち、民間シンクタンクのライフデザイン研究所が昨年11月末にまとめた「ライフデザイン白書」によると、性別役割分業を肯定する人は44・5パーセント。2年前の調査に比べて6・7ポイント増えた。

 夫婦の就労形態別に見ると、共働き家庭と、妻がパートの家庭で、10ポイント以上増え、逆に専業主婦家庭で5・6ポイント減った。

 この「逆転現象」について、同研究所の松田茂樹副主任研究員は「リストラや雇用情勢の悪化で働く女性の仕事がきつくなり、専業主婦生活にあこがれる人が増えているのではないか」と指摘。「こういう時期を乗り越えることで、『共働きが当たり前』という意識が定着していくのでは」と話しているそうである。

 ずいぶんとイデオロギーによって影響された偏った見方である(こういう偏った意見だけを載せるのを「偏向記事」と言うのではないか)。女性の仕事がきつくなったのは、なにも不況によるものばかりではない。もっと根本的には、女性が男性なみに仕事をさせろと要求し、男女雇用機会均等法を成立させたころからである。

 仕事というものはきついものに決まっている。かつては、きつい部分を男性が担当し、女性には楽な部分を担当させてきた。そういう「差別」をなくせば、仕事は男性なみにきつくなる。当たり前のことである。そういう「仕事」の「現実」を体験した女性は、「やはり女には家庭の方が向いている」と分かってきたのではないか。いわばイデオロギーの夢から覚めたようなものである。

 これは人類がやってきた自然な男女のあいだの分業が見直されてきた証拠かもしれない。イデオロギーによっては、自然な人間の感覚や分業を変えることはできない。イデオロギー主導では国が亡びることは、社会主義国の運命を見ても、スウェーデンの破綻を見てもあまりにも明かである。

 この研究員は「共働きが当たり前」という意識が定着するのがよいことだと、てんから思い込んでいるようである。そのように洗脳されてしまった頭には、自然な現象も「逆転」と感じられ、健全な感覚が「逆行」とか「反動」と思われるのであろう。

 よく「時計の歯車を逆に回す」という言い方がなされるが、あれほど思い上がった言葉を聞いたことがない。自分の考えのとおりに動くのが歴史の当然の進み方だと考えるのは、一種の選民意識である。

 

 じつは、日本人の感覚はまだまだ正常で健全だと思わせられる調査結果はたくさん出ている。

 たとえば、昨年、東京都教育庁が0歳から9歳の子がいる母親にアンケート調査をした結果、83.6パーセントが「子育てが楽しいと思う」と答えている。

 また『読売新聞』が行った世論調査によると(平成13年2月16日付)、「子どもを産み育てることはどういう意味を持っているか」という質問(答えを三つまで挙げる)に、「次の社会を担う世代をつくる」55.2パーセント、「子供の成長を楽しむ」45.3パーセント、「家族の結びつきを強める」42.0パーセントという数字が出たそうである。(次は「出産や育児によって親が成長する」28.5パーセント。)

 なんと健全で嬉しい結果ではないか。日本も捨てたものじゃない !

 

 ところで、逆転現象ということで、最近私はじつに感動的な経験をした。「母性神話」とか「三歳児神話」という言葉で否定されてきた母性について、若い女性がどんなふうに感じているか知りたいと思って、先日私の授業を受けている女子学生を対象に、次のようなアンケート調査をしてみた(平成13年11月から12月に実施)。

 

 応じてくれたのは計235名。以下のような結果を得た(「その他」「無回答」を除く)。

 

1 赤ちゃんを育てている(連れている)母親を見てどう感ずるか

    a たいへんだなあ          105名

    b ステキだなあ・かわいいなあ    56名

    c 私も赤ちゃんがほしいなあ     58名

2 「母性本能」という言葉をきくと

    a 腹が立つ             14名

    b 負担を感じる           29名

    c 不安を感じる           34名

    d 当然と思う            134名

3 赤ちゃんのすごい能力について

    a すばらしいと思う         92名

    b なるほどと思って感心する     69名

    c 生命の神秘を感じる        64名

4 母は我が子のすべてを

    a 無条件で(善悪関係なしに)受け入れるのがすばらしい 28名

    b 善悪の判断は教えるべきだ     202名

 

 残念ながら毎年やってきていないので、過去との比較はできない。それに厳密に学問的な調査とも言えない。参考資料程度のものと思っていただきたい。それにしても、この結果を素直に見れば、ここには非常にまともで健全な感覚が表明されていることに、誰も異論をさしはさまないのではないか。少なくとも私は感動した。

 なんといっても、今の学生たちはフェミニズムのシャワーを浴びて育ってきているのだ。小中高の家庭科の女教師はジェンダーフリーを注入する。大学に入ると女性学の教師がフェミニズムの公式を教え込む。社会学の教師は「仕事と育児の両立」を(つまりは子供を預けて働けと)説く。心理学の教師は「役割分担意識は作られたもの」だと説く。英文科の教師はテキストにフェミニズム関係のものを選ぶ。マスコミはフェミニズムに媚びた記事ばかりを書き、放映する。フェミニストたちはそろって「母性が出てきたのはたかだか100年のこと」と合唱する。

 こういうフェミニズムのシャワーにもかかわらず、学生たちは上のような素直で健全な感覚を持ちつづけているのだ。これが感動せずにいられようか !

 日本はまだまだ捨てたものじゃない !