エッセイ

17 病床雑詠

      (平成21年7月21日初出)

 入院・闘病生活のつれづれに短歌や俳句を作ってみました。まじめなのあり、ふざけたのあり、短歌に俳句や川柳と、無茶苦茶なので「雑詠」としました。ご笑覧あれ。( 随時追加します。 )

○ 病室の 窓辺に妻が 手折りこし

    甘い香りの 日本水仙

○ 福寿草 茎や葉よりも早く咲き

    寒さに耐えて 日差しを受ける

○ 忘れずに においおこした 梅の花

   あるじ帰りて なお咲き誇る

○ べに色も さまざまありて 梅の花

○ 梅の花 紅白同時に 咲いたとは

   今年はなにか いいことありや

 (後期 ほんとにいいことが、いくつかありました。一部は「お知らせ」をご覧ください。)

○ 青汁を 味わいながら 飲んでみる

    これはうまいと 宣伝するから

○ 青汁を 抹茶茶碗で 飲んでみる

   妻が作りし 柚餅子(ゆべし)をそえて

 (註・柚餅子は柚の香りのする和菓子)

○ 教え子が 自家製なりと 送りこし

   干し柿うまし ふるさとの味

○ 雛かざり 思い出話に 花が咲き

○ 年ふりし 雛に我が家の 歴史あり

○ 秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども

    萩の花にて 目に見ゆるなり

○ 窓外を 鳥影過ぎて もみじ散る

○ 病院から 家に帰って お雑煮だ

○ 美味しいと 言わせてもらって いいですか

   妻が笑った 傑作のしるし

追加

○ 鶯の 新入生か けちょけちょと

○ 足もとで 鯛(鯛釣草)と錨(錨草)が 春告げる

○ 皆既日食 そうかと思うと 土砂崩れ

   天は怒るし 大地も泣くか

○ 病室の 窓辺を飾る 野の花は

   我が家の庭の 旬の花たち

○ 日ごと来る 娘に奥さん えらいねと

   掃除のオバサン お褒めの言葉

○ お父さんと 呼べば間違え られぬはず

   夫のことと 思われちゃった

○ 百日紅(さるすべり) 長寿の秘訣 教えてよ

○ 彼岸花 眺めて少し 陽をあびた

    ゆれる花々 風はさわやか

○ 彼岸花 ご先祖様の 化身かな

    二泊三日で すぐにお帰り

台風18号、飯田伊那地方を直撃

○ ふるさとの リンゴ落ちたと ニュースあり

   登って遊んだ 木は息災か

○ リンゴ園 袋かけやら 剪定と

   手伝ったのは はるかな昔

○ まつぶさに 秋は来にけりと 詠われし

   禅寺丸柿 色づきにけり

 註・禅寺丸柿とは、小田急線の「柿生」駅の近くに王禅寺という寺があり、その境内にある柿。横に北原白秋の詩が刻まれた碑があり「王禅寺にその名も高き禅寺丸柿 その赤きを見れば まつぶさに秋は来にけり」とある。この禅寺丸柿が我が家にも一本あって、毎年その素朴な味を楽しませてくれる。

○ 花々(はな)は散り どうだんつつじの 照葉(てりは)さえ

   色どりそえて 秋も深まる

追加 22年2月

○ 風もなく 陽もあたたかい 秋晴れに

   200メートル 散歩ができた

○ 晩秋に ユング描きし 「赤の書」を

   眺めしおれば 久遠を感ず

○ 小梅咲き ロウバイほころぶ 庭の端

   首相よ知るや 命のいとなみ

○ 大金を 貰った首相が 説教す

   不労所得は 大罪なりと

○ 立春の 寒さ厳しい 庭さきに

   福寿草出た 三兄弟なり

○ 寒い日は 家の中から 庭を見る

   白梅蕾 赤いと気付く

○ 今年また 匂いおこした 梅の花

   早く治れと 励ます如し

○ こんな部屋 来とうはなかった 梅の花

○ 雛の横 ここならいいと 梅の花

追加 23年10月

 9月に軽井沢の別荘に行ってきた。何年ぶりかで。感激。

○ ついに来た 思いもかけぬ 別荘へ

     澄み切る緑 透き通る空

 ところが、山には異変が起きていた。木の実は実らず、

虫も鳴かず飛ばず、不気味な静けさだった。こんな感じ

○ ウリンボに 熊さえいでて 餌探す

     蝉も小鳥も 鳴かぬ不気味さ

○ 生きてたか 雉の親子が 庭にきた

     虫がいなくて 木の実ついばむ

○ 忘れっぽい 俺の娘だ 心配ない

○ うってがえ 取られるまでは 有頂天

○ 藤の房 重なり合いて 競い合い

   むらさき色に 波打つごとし

○ ひさしぶり 窓から外を ながむれば

   枯れ木はすべて 若葉となりぬ

○ キンモクセイ たれに送るか この香り

   いとしき君は いずこにありや

Back to Top Page