母性

 

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(2)『母性崩壊』PHP研究所、平成11年(1999年)11月刊

      

特徴

 幼児虐待をもたらす根本原因を母性本能の崩壊として捉え、 母性崩壊の原因と対策を提言する。『母性の復権』が母性についての原理論とする と、これはその応用編である。

 母性崩壊を「人格未熟型」「ロゴス型」「病理型」の三つの 型に分類し、子どもへの影響およびそれぞれの原因と対策を探る。

 

注目点

1 母性崩壊の型を三つに分類しているところ

2 母性崩壊の子どもへの悪影響を具体的に指摘しているとこ ろ

3 育児論や母性論を展開しているフェミニストたちを「母性 崩壊者」と規定して、その危険性を指摘しているところ

 

 

「はじめに」再録

 母親によるわが子の虐待・殺人が急増している。たとえば─

 炎天下、車の中に幼児を置き去りにして、何時間もパチンコ をしていて、子どもを死亡させた。

 男友達と外泊をして遊び歩いているうちに、乳児が死亡して しまった。

 小学校一年生の女の子を縛りあげ、夫と友人の三人で打ち殺 してしまった。 

 保険金ほしさのあまり、一六歳の息子を殺してしまった。

 こうした驚くべき事件が、毎日のように報道されている。

 母親たちの心の中でいったい何が起きているのか。

 母親ならば自分の子が可愛くないはずがない。それが健全 な、いや普通の、母親の感情である。それなのにわが子をいじめぬく。それも単に暴 言をはくとか、叩くという程度ではなく、信じられないような残虐な方法で虐待する のである。いたいけな幼児に「アイロンや焼きごてをあてる」とか「風呂の水に頭を つっこむ」「逆さに落とす」などという行為は、母性本能が壊れているとしか言いよ うがないではないか。

 そういう現象を見て、「母性本能が壊れている」と感ずるの が健全な感じ方というものである。ところが、逆に「母親ならば自分の子が可愛いの が当たり前」という母性崩壊説が母親を追いつめて、子どもを虐待させる原因になっ ていると主張する人々がいる。

 いったいどちらが正しいのか。

 母性本能などもともと存在しないのか。それとも母性本能は 存在するが、何かの原因で壊れてしまっているのか。

 そのどちらと判断するかで、対策はまったく正反対になる。

 前者ならば、「母親なら子どもが可愛いはず」と言うこと が、ますます虐待を多くする原因になってしまうであろう。まして「母性が本能だ」 などと言うことは、とんでもない間違いを犯していることになる。

 後者ならば、「母性は本能」という前提に立って、母性本能 が崩壊している原因を突き止めて対策を考えなければならないことになり、「母性神 話」原因説は重大な過ちを犯していることになる。

 ことはきわめて重大であり、かつ緊急を要する。いったい、 どちらが正しいのか。

 私の考えは母性本能説である。いま起きている幼児虐待は、 母親の母性本能の壊れとして見ていかなければならない。そうでなければ理解できな い現象が多すぎるし、またそういう理解でなければ対策は決して有効にならないであ ろう。とくに「母性神話」原因説は決定的な間違いを犯しており、それでは母も子も 救えない。

 本書では「母性神話」原因説の誤りを批判すると同時に、さ まざまな角度から母性本能の崩壊を分析する。そして母性を修復して、「子どもが可 愛くない母」「母から可愛がられない子ども」をいかにしたらなくすことができるか を考えてみたい。

 

 

目 次


序章 虐待はなぜ起きるのか


「普通の」母親がわが子を虐待する時代

二つの間違った原因説


一章 母性崩壊の三つの型


1 人格未熟型の母性崩壊

子どもが邪魔という感覚

子どものマイナス面を受容できない

甘えたいヤンママの危険

行き着く先は子捨て


2 ロゴス型の母性崩壊

ロゴス型女性の特徴

母性本能を否定するロゴス型の典型

母性本能否定の心理と論理

「働け」イデオロギーへの傾斜

子どもに対するロゴス型女性の感情的な憎悪


3 病理的な母性崩壊

コミュニケーション能力の不全

母親の情緒不足または不安定

自分を否定されたように感じるとき

「計画的に」いびる

 

二章 子どもへの影響


1 さまざまな症状

心身の発達障害

情緒の不全または不適切

人間関係への不適応

攻撃的になる

甘えたがる

自害的になる(自傷・拒食・過食)

非行


2 神戸の少年少女殺傷事件の犯人「少年A」の場合

過敏で神経質な子ども

無神経な厳しさ


3 サイレントベビーの危険

不気味な赤ちゃん

サイレントベビーの症状


三章 母性崩壊の原因


1 家族関係の心理的ストレス


2 若者文化礼賛の心理

若さと母性の相克


3 退廃的な現代都市文明   


4 「働け」イデオロギー

「働け」イデオロギーはどのように母性崩壊を圧迫するか

近視眼的な利害に利用される「働け」イデオロギー


5 母子の世代連鎖

母性崩壊の世代連鎖

50代女性の母性体験欠落

「働きたい母」のはしり

「働け」イデオロギーの母性破壊作用


四章 「母性神話」原因説の誤り


1 フェミニストの誤診

「孤立育児」「密室育児」原因説の間違い

「子どもが可愛くなくてもよい」という誤った救い方

母性崩壊否定者たちの本当の動機


2 母性崩壊を隠蔽するフェ理屈

田中喜美子氏の間違いだらけの子育て論

「母の就労は子の発達と関係ない」

 

3 子どもより大切なもの?

「仕事のため」に子どもを捨てた母親

「愛のために」子どもを捨てた母親

「老人語」を嘲笑って不倫を正当化する鈴木由美子氏

離婚を正当化するフェ理屈


4 母性崩壊者の危険な育児助言

「家庭保育を捨てよ」(田中喜美子氏)

「やりたいことてをやれ」(武田京子氏)

「母親だけでなく皆で育てよ」(大日向雅美氏)


五章 母性崩壊の治療と予防


1 現代家族の愛情ギャップ   


2 治療の方法論

分離と並行の原理

生育歴を振り返る

母性を味わい直す、育て直す

内からの母性の芽生え・成長

パソコンによる自助グループの有効性と危険性


3 母性教育の必要性

無免許運転ではいけない

事前の学習は大切である

思春期に正しい母性教育を

母性教育を事実上否定する大日向雅美氏

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