母性

 

7 自著自薦

 

(1)『母性の復権』中公新書、平成11年(1999年)10月刊

        

 

特徴

母性に関する基礎理論書である。

「子どもが可愛くない」、「子どもが分からない」という母親たち。果ては子どもを放置、虐待し、死に至らしめる例も。いま、母性に異変が起きている。母性本能の解体や消失が、深いところで不気味に進行しているのである。この状況を前に、そもそも母性とは何なのか、なぜ解体、消失してしまうのか、そしていかにすれば修復できるのかを、母性に関する科学的・実証的研究の成果と、著者自らの心理療法の経験にもとづいて解明する。

 

注目点

1 母性が子どもにとっていかなる意味で大切なのかを、科学的・実証的な研究に基づいて明らかにしている点。

2 「本能」という概念を方法論的に解明した上で、「母性が本能である」ということの意味を科学的・方法論的に明らかにしている点。

3 母性本能解体の原因と対策を、臨床経験に基づいて明らかにしている点。

4 とくに本書の最大の特徴は、「母性は本能である」というテーマに真っ正面から取り組んでいる点である。

 大日向雅美氏をはじめとして、フェミニストたちは「母性=本能」説は神話だとして、「母親は母性を持っていて当然」とする「母性愛神話」が母親を追いつめ、ノイローゼや虐待を産んでいると主張している。そのような見方は原因と結果とを逆に取り違えている、というのが私の主張である。

 「母親は母性を持っていて当然」と言われたときに、それを抑圧だとか攻撃されていると取るのは、すでに母性が壊れてしまっているからだというのが、私の基本的な立場である。

 子どもが可愛くないという母親に対して、「母性をもっていないくてもいいよ」と言ってあげるのは、母親は気が楽になるとしても、母性不足の中に置かれた子どもは救われない。

 解体した母性をどうしたら修復できるか、どうしたら母性解体を予防できるのか、という観点が必要なのである。

 

 

目 次


序章 壊れゆく母性


第一章 母性はいかなる意味で大切か

 

1 人格形成の基礎としての母子一体感

2 母子一体感はどのようにして形成されるか

3 心身の発達への影響

4 自立への準備のために必要な一体感

5 母性の条件


第二章 母性は普遍的である


1 本能としての母性の普遍性

2 歴史的・民俗学的研究から見た母性の普遍性

3 シンボル史から見た母性の普遍性

4 母性は「作られた神話」か

 

第三章 母性解体の原因と対策


1 母性本能の無意識的な過剰

2 コンプレックスやイデオロギーによる母性本能の喪失

3 病理的な母性破壊

4 思春期に現われる母性解体の悪影響


終章 母性を守る環境

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