母性  

4 お母さんは専業主婦がいい

    (平成15年2月19日初出)

 

 ベネッセ教育総研が「家族」について小学校高学年にアンケート調査したところ、四割の児童が母親は専業主婦であってほしいと望んでいることが分かった。「外で働くお母さんのほうがいい」と答えた子供は二割強で、「どちらでもいい」が36%だった(『産経新聞』平成15年2月17日)。

 これはフェミニストには都合の悪い結果だろう。なにしろフェミニストたちは、宇部市の「専業主婦」を認めるべきだという男女共同参画条例に対して、「それは固定的性別役割分担を否定している男女共同参画基本法に反するものだ」と批判しているからである。そういう人たちから見たら、四割もの子供が母親に対して専業主婦であることを望んでいるとなると、困ってしまうのではないであろうか。この数字は、フェミニストたちがいかに子供たちの気持ちから乖離しているかを示している。

 しかし私から見れば、この数字も子供たちの本当の気持ちを正直に表わしてはいないと思われる。子供たちの正直な気持ちは、100パーセントに近く「お母さんは専業主婦として家にいてほしい」だろう。「どちらでもいい」と答えた36パーセントの子供は、本当はお母さんは家にいてほしいのだけれども、そう言うと、仕事をしたいと考えている母親と対立してしまうので、気を遣って「どちらでもいい」と答えているのである。あるいは自分の母親の反専業主婦思想を日ごろから聞かされているので、その思想と本心とのあいだで葛藤を起こしているのであろう。中には、母親とのあいだがうまくいっていないので、投げやりな態度で「どちらでもいい」と答えた子もいるかもしれない。

 「外で働くお母さんのほうがいい」と答えた子供は、すでに完全に洗脳されていると言うべきだ。働く母親の子供は、けなげにと言うべきか、哀れにもと言うべきか、働く母親に合わせる、または寄り添うしかなくて、「働いているお母さん、カッコイイ」と言うものである。彼らは家に帰ったとき感ずる寂しい感情を抑圧し、圧殺しているのである。

 フェミニストたちは子供の感情を無視し、それが心の発達にどういう影響を与えるかという問題から目をそむけたり、エセ学問を使って「影響なし」と強弁してきた(この点については本HPの14「菅原レポートの非科学性」を参照されたい)。

 しかし女性が働きたいと思うなら、子供の気持ちを大切にしながら働ける体制や政策を求めていかなければならない。自分たちの人生や気持ちやライフスタイルだけを優先するのではなく、子供の心を大切にすることのできる働き方を模索する時期にきているのではないか。(子供とともにいる時間を増やしながら夫婦で働くことがいかに可能かについての具体的な政策提言を拙著『家族の復権』で行っている。)

 

 つぎに参考までに『産経新聞』の記事の全文を以下に紹介する。

 

お母さんは専業主婦がいい 小学生の4割

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家事の大変さ認識

ベネッセ総研アンケート調査

 

 ベネッセ教育総研(東京都多摩市)が「家族」について小学校高学年にアンケート調査したところ、四割の児童が母親は専業主婦であってほしいと望んでいることが分かった。「外で働くお母さんのほうがいい」と答えた子供は二割強だった。また、「母親の家事は大変」と思いやる子供ほど、家族を肯定的にとらえていた。(家族取材班)

 

 調査は昨年五月から六月にかけて、「居場所としての家族」をテーマに、都内公立小学校の高学年を対象にアンケート。千三百二十六人から回答を得た。

 

 それによると、どちらの母親がいいかという問いに「家で家族の世話をするお母さん(専業主婦)」と答えた児童は40・8%、「外で働くお母さん」は23・1%、「どちらでもいい」が36・1%だった。専業主婦の母を望むのは男子が37・4%、女子は44・6%で、女子の方が多かった。

 

 調査対象の児童の母親は「家の仕事だけ(専業主婦)」が34%、パートや自営業も含む仕事を持つ母親が45%だった。

 

 「家での仕事(家族の世話や家事)は大変か」との質問には、母親が「とても大変」「わりと大変」と答えた児童は計85・4%だった。一方で「父親の家事が大変」と答えたのは計42・3%で、やはり家事は主に母親が担っていて、わりと大変そうだと子供は認識しているようだ。

 

 また、家事を含む母親の仕事は「とても体が疲れる」「とても人のためになる」と思っている児童は、父親の仕事が「大変で人のためになる」と思っている児童よりも多かった。総じて子供は、父親よりも母親の役割の方が、大変かつ重要だと感じているようだ。

 

 さらに、「母親の家事は大変」と思っている子供ほど、「この家に生まれてよかった」「お父さんとお母さんは仲がいい」「家の人が帰って来るとみんながうれしい気持ちになる」などと、家族を肯定的にとらえていることも分かった。

 

 結果についてベネッセ教育総研は「昔から子供は親の背中を見て育つといわれるが、子供が『親はよく働き、家族を一生懸命支えてくれている』と感じるとき、子供は安定感を持って育つ」と分析している。

 

 

 

いつも出迎えてくれる母は“心の基地” 深谷和子・東京成徳大教授に聞く

 

 調査を行ったのは深谷和子・東京成徳大教授(児童臨床心理学)を中心とするグループ。子供にとっての母親の大切さを各方面で発言している深谷教授に調査結果について聞いた。

 

 −−専業主婦を望む児童が四割という結果について、どう分析しますか?

 

 いつの時代も子供は、お母さんには家にいてほしいものです。子供の正直な気持ちでしょう。むしろ「どっちでもいい」との答えが予想以上に多くて、驚きました。外で働く母親に慣れ始めたのでしょうが、ただ、子供は決して「お母さん、働いてもいいよ」と積極的にサポートしているわけではありません。

 

 −−母親が働く場合の子供への影響は

 

 子供は母親にしがみつきたいものです。それなのに母親は、しがみつくわが子の手を振り払って仕事に行く。それで大丈夫な子供もいるけれど、あまりいいことではない。子供にとって母親は、そばにいると安定できる“心の基地”のような存在です。父親がうちにいれば母親が外に出ても問題ないかもしれませんが、今の日本の労働環境では父親に母親の代わりはできません。

 

 −−子供が望む母親像は

 

 たとえば、本当はフルタイムで働きたいのに家事をこなすためにパートで我慢する母親はとても多い。そういった母親の献身が日本の子供を支えているんです。子供は「自分のために尽くしてくれるお母さん」を求めています。それは「母親の仕事(家事)が大変だと思っている子供ほど、家族を肯定する気持ちが強い」という今回の調査結果にも表れています。

 

 −−子供にとっての家族とは

 

 いつも同じ家に帰ると同じ人がいて同じように迎えてくれる、それが子供の心の安定につながります。子供には、保育園・幼稚園のような大規模集団ではなく、自分を受け入れてくれる小さな閉鎖された集団が必要です。それが家族です。家族が子供の“居場所”になるには、誰かが家庭にいた方がいい。大人にとって家族は煩わしい面もありますが、子供は家族に縛りつけられる方が、不自由だけど安定するのです。

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